優しい彼が残したもの


入学式も無事に終わり、門の前で記念撮影の列ができていた。


「綾音、撮ろうよ!」


みのりの提案に賛成し、列に並んだ。


人の行き交う場に列を作っているため、ぶつからないように気を張っていた。

はずだったのに…


「ごめんなさい!」


前に並んでいた同じく新入生であろう男の人にぶつかってしまった。


「大丈夫ですよ。」


……えっ…嘘だ。

こんな偶然あり得ないよ。


「あ、あの時の!」

「なんだ康喜、女の子の知り合いいたのか。」


康喜と呼ばれた人の横にはもう一人男の人がいた。


「知り合いっていうか、親切にしてくれたんだ。」

「あ、いやいやそんなこと!」

「何々綾音、こんなイケメンと知り合いだったの?」


耳元でみのりが言ったのを慌てて否定した。


「同じ大学だったんだね。
せっかくだし、一緒に撮ろうよ。」


彼がそう言ってくれて、四人で写真を撮った。


その後、自己紹介をして、また友達が増えた。

瀬川 康喜くんと三島 峻(みしま しゅん)くん。

四人共、学部も同じだった。


大学生活が楽しみになった。


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