深愛なる君へ、この愛を捧げます。
「…ママ、泣いてるの?」
「…え、…?」
日海が触れた私の鼻を触ると濡れていた。
私…泣いてるの?
横になっているせいか、涙は頬ではなく鼻を伝って流れている。
泣いている、そう認識すると涙は次々と溢れて止まらなかった。
「ママ、泣かないで」
「…っ、ごめん…ごめんねっ…」
頭を優しく撫でてくれる日海をギュッと抱き締める。
理人の病室の中では平気そうに話していた日海が、家に帰ると寂しそうな表情をしていると、何もできない自分に苛立つ。
私はなんて弱い生き物なんだろう。
日海の望むもの、望んだことを叶えてあげられない。
子供の希望を言葉で誤魔化している、最低の母親。
ねぇ、理人。
私あと何回誤魔化したらいいの?
あと何回日海と二人だけの夜を過ごせばいいの?
私は日海を抱き締めたまま、日海と一緒に眠った。