私の好きな人は、ヒーローでした。
プロローグ
「結美那……っ(ユミナ)」

「拓っヤダ…行かないでよ……!!」

「ごめんな、結美那」

私の腕から、スルリと離れる、拓海(タクミ)の腕。
そして、私の目の前から、姿が消えた。
ドンッ
その音が似合うだろうか、すごい、鈍い音がした。

「キ、キャァァァァァァァ!!!」

ハッとしてフェンスから身を乗り出す。
下には、頭から血を流した拓海がいた。

「あ、あぁ、ィ……イヤァァァァァァ!」


恋が、私は、怖くなった。
失うのが、怖い。
永遠に、大切な人を失うのも。
傷つくのも、
すべてが怖い
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