あのね、先生。-番外編-
吉野先生にお礼を言って、貰った氷を腕や肩に当てる。
「後で楽だといいね」
「うん、冷たいけど気持ちいいし、多分いつもより楽だよ」
「あれ、茉央ちゃんサンダルは?」
少し歩いたところで、蓮くんがあたしの足元を指差して言う。
「あ、忘れてきちゃった。でもいいよ、すぐそこだし」
「俺の履く?」
「んふふ、蓮くんの大きいでしょ?」
こんなに人がいる海だし、怪我することなんてないだろうって思った。
きっと整備されてるはずだから。
取りに戻るには少し遠い距離だったから、まあいいか、なんて思って。
「あ、梨花とシロ…あれ、加地くんどこ行ったんだろ」
「そういえばいないね」
「ナンパでもしに行ったかな」
「加地くんが?ないでしょ」
加地くんがナンパしてるところを想像して、蓮くんは笑ってた。