あのね、先生。-番外編-

お昼を買いに行こうと立ち上がったとき、戻ってきた中村さんと吉野先生の姿が見えた。

「あ、咲良さん」

「え?」

吉野先生は笑顔であたしに近づいてきて、ポンと何かを手渡す。

「これ…」

「日焼けが酷いみたいだから、氷貰ってきたの。なるべく早く冷やした方がいいから、ご飯食べる間だけでもね」

袋に入った氷を手渡されて、それを包むタオルまで貸してくれた。

「さすがっすね、保健医さん」

「褒めてるんですか?」

なんて、中村さんと吉野先生のやりとりを見てると、蓮くんの言ってたことが少しだけ分かるような気がする。


「あの、ありがとうございます」

「いいのよ、体質によっては酷い子っているから。早めのケアが大事なの」

優しいお姉さんみたい。

あたしは一人っ子だから分からないけど、多分お姉ちゃんがいたらこんな感じなんだろうなって。
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