あのね、先生。-番外編-
「消毒してもらわなきゃっ」
梨花が焦ったように言うけど、歩くのはちょっとしんどいかな。
結構深く切ってしまったのかしれない。
傷口はジンジンと痛んだ。
「咲良、立てるか?」
シロの言葉に、迷いながらも首を横に振ろうとした時だった。
「俺が連れてくから大丈夫」
体かふわりと宙に浮いて、その不安定さに慌てて手を首に回した。
「わっ…蓮くん」
「歩けないでしょ、その足じゃ」
二度目だ。
こんな風に抱き上げられたのは、二度目。
ただ、一度目をあたしはちゃんと覚えていない。何しろ、熱中症で倒れて意識がほとんどなかったから。
「…俺のサンダル貸せばよかったね」
「え、あ、でも蓮くんのじゃ大きいし、あたしの取りに戻れば良かったんだよ」
蓮くんのせいじゃないよ。