あのね、先生。-番外編-
「あたしね、蓮くんのこと中村さんによく相談してたの。知ってるかもしれないけどね」
「んー、たまに俺も相談乗ってもらってたし、もしかしたら教えてくれてたこともあったかもね」
茉央ちゃんはパタンとベッドに倒れて俺を見上げる。
「助けてもらった分、お礼しなきゃ」
もう多分、今日は加地くんの部屋に行く前に寝ちゃうんじゃないかな。
きっと明日の朝には、久しぶりだから行きたかったって言うんだろうけど、ここで起きて、なんて言えない。
「そういえば、今日ね」
ベッドについてた手が茉央ちゃんの手に触れて、指が絡まる。
「中村さんに、蓮くんと同じような笑い方するようになったな、って言われたの」
「笑い方?」
「うん、笑い方」
そう言った茉央ちゃんの顔が少し嬉しそうなのは、少なからずそう言われたことで悪い気はしなかったってことだよね。
「あたし蓮くんに初めて会って笑ってるところ見たときにね、ふにゃん、って、人懐っこそうに笑うなーって思ってたの」
そうなのかな。自分じゃ分からないけど、茉央ちゃんが言うならそうなのかもしれない。