あのね、先生。-番外編-

「分かるよ、どれだけ咲良のこと大事に思ってたか知ってるし。そりゃ、幸せになってもらわないとな」

そう言うお前だって、同じだろ。

咲良が大事で、幸せになるのをちゃんと見ていたいと思ってるのは多分俺一人じゃなくて、白城も高橋も、中村先生も同じだ。

不思議なんだ。

放っておけないと思うのも、本人に何か頼まれたわけでもないのにみんな同じようにあいつを大事にしてるのも。


「蓮くんなら大丈夫」

「そうだな」

「あの人が咲良を不幸にするわけないし」

「むしろ自分より咲良が大事じゃん」

「それ分かる」

あの人以上に咲良を幸せにできる人はいないし、咲良以上に蓮くんを幸せに出来る人はいない。

お互いがお互いを必要として、それ以上に欲しいものはないというなら、それ以上の幸せはないだろう。


「俺じゃ蓮くんには一生並べなかった」

「はは、加地には悪いけどそれは頷けるわ」

「仕方ねーよ、相手が悪い」

相手が悪かった。

ただ、咲良の相手が蓮くんでよかった。

そう思えるから、いいんだ。


「何か意外。加地くんって女の子嫌いだと思ってたのに」

隣から聞こえたのは、聞き覚えがある声。
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