俺様紳士の恋愛レッスン
6月の最終週に入り、タカちゃんの最後になるかもしれない展覧会が始まった。


今回の展覧会は関係者やVIP向けに開かれる招待制のもので、上手くいけば一生ものの顧客や繋がりが生まれるらしい。

私は最終日に行く約束をしているけれど、刻々と迫り来るタイムリミットに、複雑な胸中であるのは否めない。



「篠宮、折角だからお前もよーく聞いとけよ」

「はい。でも私みたいなバカに理解できるかどうか……」

「篠宮さんもぜひ聞いていて下さい。投資以外の場面でも役立つことがあると思いますので」



お得意のビジネススマイルを向けてきた十夜。

その裏側に隠された意図を察し「分かりました」と頷くと、綺麗に結ばれた広角の片端が微かに上がる。



「では、お時間の許す限り」



凛とした声を皮切りに、即席勉強会が始まった。

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