俺様紳士の恋愛レッスン
「こういうの本当に久々だね」

「そうだね」



家族連れやカップルで賑わうショッピングモールを、二人並んでゆっくりと歩く。



「アトリエにこもりっきりだったから、人がいる場所自体が懐かしいよ」

「うん、本当にお疲れ様」



緊張しているせいか、笑顔がぎこちなくなってしまう。

反してタカちゃんの笑顔は心なしかいきいきしているように思えて、釣られた私の心も少しずつ穏やかになっていく。



「結構混んでるね」

「うん、土曜だからね」

「エンちゃん。その……久々に手とか繋いでみる? ほら、迷子になっちゃうかもだし」



照れくさそうに手のひらを差し出したタカちゃんを見て、ドキリと跳ねる心臓。



「うん」



その手を取って、再び並んで歩き出す。

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