俺様紳士の恋愛レッスン
この前叱られた時よりも、深く刻まれた眉間のしわ。

低血圧だから機嫌が悪いのか、それとも単純に、私に相当苛立っているのか。


もちろんその答えは、後者で。



「……ゴメン」

「謝るってことは、自覚あるんでしょ?」



言葉は胸に刺さり、ドクンと嫌な音を立てる。



「……ま、いいわ。とりあえず今日は楽しむといいよ」

「ゴメ」

「でも!」



遮られた謝罪の言葉が翻(ひるがえ)り、喉がグッと音を立てた。



「私はしつこく言い続けるよ。エンには幸せになってほしいから」



そう残して外された萌の視線には、苛立ちよりも侘びしさが映っていた。



「……ありがとう、萌」



萌は本当にいいヤツで、やること成すこと矛盾だらけの私を見放さないでいてくれるどころか、いつも正論で叱ってくれる。

そう。萌はいつでも、正しい。

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