俺様紳士の恋愛レッスン
「おはよう、篠宮、笹川」

「おはようございます室長!」

「ん? 篠宮、今日はデートか? やけに気合いが入ってるな」

「いえっ、そういう訳では……!」

「ははは。篠宮もそうやってきちんとしてれば、ちゃんと美人に見えるのになぁ」



そう豪快に笑う山内室長は、所謂『デキる男』だ。

時に30代前半とは思えないほどの威厳を発揮するけれど、普段は優しく頼れる存在で、私を含めた部下からの信頼も厚い。



「篠宮、今日のミーティングのことは分かってるよな?」

「もちろんです!!」



思いの外大きくなってしまった声に、室長の切れ長の目が見開かれた。



「そ、そうか。10時からだからな。準備頼んだぞ」

「任せて下さい!」



言われるまでもなく、昨日の時点でミーティングルーム全体をピカピカに磨いておいた。

家の掃除はタカちゃんに任せっきりのくせに、こういう時だけは頑張れるのだから、不思議だ。

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