俺様紳士の恋愛レッスン
始業してからも、ふわふわと浮き立つ感情が邪魔をして、正直仕事どころではない。

内心いけないとは思いつつも、パソコンに表示された時計を食い入るように見つめ、その時を待っていると。



「失礼します」



9時55分に切り替わったその瞬間、完璧なタイミングで現れた声に、構えていたはずの身体がビクンと跳ねた。

オフィスの入り口には、2つの影。



「おはようございます、山内室長!」



朗らかでよく通る声は、以前から顔なじみの経営コンサルタント、木崎さんだ。



「おはようございます、木崎さん。今日は篠宮もミーティングに参加させますので、どうぞ宜しくお願いします」

「こちらこそ。篠宮さん、宜しくお願いしますね」

「はい! 宜しくお願いします!」



木崎さんがどんな人かと問われたら、爽やかな好青年と答える他ないだろう。

どこか室長と似た雰囲気を持つ木崎さんは、やはり『デキる男』に違いない。

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