俺様紳士の恋愛レッスン
「でもまぁ、私はエンが自分の気持ちに向き合ってくれるようになっただけでも嬉しいよ」



萌はしゃがみ込む私の頭を、ぽんぽんと撫でる。



「……うん。今までごめん、萌」

「だからごめんは聞き飽きたって」



萌は私を合コンに連れて行ってくれたり、男の人を紹介してくれたりと、何度も変わるチャンスを与えてくれていた。

けれど私は悉(ことごと)く、その親切心を裏切ってきたのだ。

全ては、汚い本音を認めたくないがために。



「タカちゃんとはきちんと向き合うよ。どの道このままじゃダメだよね」

「うんうん。私も一緒に考えるから頑張ろ」

「萌ー! ほんといいヤ」

「何してんだ篠宮! 仕事に戻れ!」

「ぎゃっ、室長! すみませんっ!」



目くじらを立てる室長にペコペコと頭を下げながら、そそくさとデスクへ戻った、その時。

< 79 / 467 >

この作品をシェア

pagetop