俺様紳士の恋愛レッスン
「じゃあ後は頼んだぞ、篠宮」

「ハイ……」



爽やかな笑顔を残し、室長は会社を後にした。

別件という名の社長命令により、急きょ会社を出なければいけなくなってしまったのだ。


というわけで、今日のメイン活動である、片柳サンを各部署へと案内する任務を一任されてしまった私。



「とりあえず上に行きましょうか、ね」

「はい。宜しくお願いしますね、篠宮さん」



緩やかな笑みで私を見下ろす彼は、予想通り先週のことなど微塵にも気にしていないらしい。

それが妙に悔しくて、けれど胸は高鳴って、そんな自分がやっぱり悔しくて、私は彼を直視できずにいた。



「これから行く5階には、商品開発部、販売促進部、店舗開発部、そして社長室があります」



上を示すボタンを押すと、1階に停まっていたエレベーターがゆっくりと動き出す。

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