キミが笑う、その日まで







「……早く行かないと、置いて行かれるスよ」




あたしの方を見ずに、フイと如月が通り過ぎていく。

あたしは何も言わずに頷いて、どんどん進んでいく如月を追いかけた。




逃げているだけ、か。

確かにその通りかも…。

馬鹿だな、あたしって。

自分で自分が、情けなくなるよ。




きーくんと真帆は気が付かないまま、あたしと如月はふたりに追いついた。

あたしたちの間に何があったのか、ふたりは知らない。

そのまま、夕焼け公園と呼ばれる場所に到着した。




緩やかな坂道を上った先。

…確かに夕焼け公園はあった。

あたしの記憶の中にある、夕焼け公園と同じだった。




「わぁ…懐かしい」


「あ、美空やっぱり覚えているんだ?」


「うん。
名前聞いた時は確信なかったけど、来てみたら確信持てた。
あたし、この場所覚えている」


「良かった、来てみて。
提案してくれた如月に感謝だね!」




夕焼け公園はその名の通り、夕焼けが良く見える位置にある。

如月は何も言わずに、公園から見える空を眺めていた。








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