好きだからキスして何が悪い?
「お、来た来たー」

「やほー」


手を上げる琉依くんに、ブラウンの長い髪をサラサラとなびかせる文ちゃんが応えた。

琉依くんの隣では、眼鏡を外した彼が色気のある上目遣いを見せて、私の胸は早鐘を打ち始める。


ドキドキしながらふたりのそばに腰を下ろすと、如月くんの口からため息がこぼれた。


「俺の平和な時間が……」

「十分平和じゃん! てか、たまには皆で仲良く食べるのも楽しいでしょ。僕こういうの好きなんだよね」


楽しそうな琉依くんに、私も自然と笑顔になる。

まだ転入して数週間なのに、すでに友達がたくさんいて、いつも彼の周りには人が集まっているんだ。

さすが、フレンドリーな彼の人徳だなぁと感心しちゃう。


そんな琉依くんの言葉に、文ちゃんもランチバッグを開けながら頷く。


「ほんと、ここすごい気持ちいいし。ありがとね、如月くん。イロイロ教えてもらっちゃって」


“イロイロ”の部分を強調して言い、にんまりと口角を上げて如月くんの顔を覗き込む文ちゃん。

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