好きだからキスして何が悪い?
「……今日は具合は大丈夫か?」


事務所のドアを開けようとした彼が、少し優しい口調で問い掛けた。

ドキン、と胸が鳴る。

まさか気にかけてもらえるとは……。


一瞬ぽかんとしてしまった私は、はっとすると慌てて答える。


「あ、だ、大丈夫です、バッチリ! 普通の朝食とドーナツと……あとスイカ4分の1食べてきたし!」

「ぶっ、逆に食い過ぎ」


おかしそうに吹き出した如月くんに、胸がきゅうっと締めつけられた。

久々に笑った顔を見られた……。

嬉しくなって、その笑みに見惚れていると、彼は私から目を逸らしてこんなことを言う。


「……この間は、悪かった」


思いがけない言葉に、目が点になる。

謝った……あの如月くんが。

目を開いてじっと凝視していると、彼はバツが悪そうにくしゃっと頭を掻く。


「あの時は、個人的な理由でイライラしてて。菜乃のせいじゃないから」

「……ほ、ほんと?」

「いや、お前のせいでもあるけど」

「え!?」


ど、どういうこと!?

ギョッとしていると、如月くんの切れ長の瞳がこちらに向けられた。

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