好きだからキスして何が悪い?
場所を変えようと言って、人がほとんどいない神社の裏手に移動した。
もう約束の時間は過ぎているが、菜乃達は三人でいるだろうからと、あまり心配せずに。
この時の俺の頭の中は、パープルのことと、そのリーダーだった音哉──俺の兄貴のことで埋まっていた。
俺達は腹違いの兄弟、つまり音哉は、父親が同じで母親が違う半分血の繋がった兄だ。
音哉の母親は親父の不倫相手で、籍も入れず、シングルマザーとしてひとりで彼を育てたらしい。
そんなことがあったと知らずに育った俺は、中学で2コ上の音哉と一緒になった。
当時から不良グループに属していた音哉は、中学の中でも目立つ存在で、彼から突然声を掛けられた俺はかなり驚いた。
しかも、その時に言われたのが、
『お前か、俺の弟は』
なんて一言だったから、あまりにも衝撃的だったし。
絶対嘘だと思ったものの、親父のことも、俺のことも詳しく知っていたから、徐々に信憑性を持ち始め……。
親父に問い詰めたら本当だということがわかって、その時から俺の中で何かが変わったんだ。