好きだからキスして何が悪い?
「何だ、あのカップル。キモッ」

「超絶地味だな」

「何であんなヤツに彼女がいて俺には出来ねぇんだよ!!」


思わず吹き出しそうになる。

ていうか、私達カップルじゃないし!

笑っちゃいけないと思うものの、如月くんも俯いて必死に笑いを堪えているように見えて、なんかもう我慢出来ない。


「なに笑ってんだコラァ!」

「ぅえっ!?」


バレないように手で口を隠していたのに、すごい形相をした坊主の男子がこっちに向かってくる。

それに続いて、二人の男子もニヤニヤと笑いながらついてきた。

ぎゃー!! これは非常にマズイ展開じゃないでしょうか……!?


顔を引きつらせていると、隣から「チッ」と舌打ちする音が聞こえた。

な、なんか、如月くんも怖いんですけど!?


どうしよう、とあたふたしていると、突然私の手首がぐっと握られる。

何かと思ったその瞬間、如月くんが私の手を引いて早足で歩き始めた。


「えっ、如月くん!?」

「ったく、面倒くせぇことに巻き込みやがって……」


ボソッと呟きながら彼が向かうのは、すぐそこの路地裏。

こんな狭い所に入ったら、逃げられないんじゃ……?

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