笑顔の裏側に
あいつはどうしてそんな風に思ってしまったのだろうか?

俺はまたあいつを傷つけてしまったのか?

もちろん、お母さんの言動から察しがついたし、確信も得られた。

だけど俺は麻生の口から直接聞きたかった。

状況は分かっても麻生がどんな気持ちでどんな思いでいるのかちゃんと知りたかった。

麻生が背負ってるものを少しでも軽くしてやりたかった。

だから俺は話そうと言ったのだ。

でも麻生は昨日までの優しさからは想像できないほど真っ黒な瞳をしていた。

あのぎこちない笑顔まで消え、無表情で俺の話を断った。

また俺は大切な誰かを失ってしまうんじゃないかと思って怖かった。

だから慌てて麻生を追いかけた。

でも洗面所から漏れる苦しそうな声。

居ても立てもいられず麻生に断って強引に押し入った。

見ると麻生にはしっかり涙の跡が残っていた。

一人で苦しんで。

誰にも弱さを見せない。

平気なふりして強がって。

影では静かに涙を流す。

俺じゃダメなのか?

麻生の支えにはなれないのか?

麻生は何を考えてる?

俺には麻生の気持ちが分からない---。
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