笑顔の裏側に
そうして病院に到着し、愛ねえは外で待っていてくれた。

麻生を抱えて病院に入る。

電気はついていなかったから、きっとまだ診療時間じゃないのだろう。

「ごめんな。まだ診療時間じゃないんだろ?」

「いいのよ。今日は午後からだったんだけど、千秋が急遽出張でね、休みになったのよ。私しかいないから気軽にどうぞ。」

「ありがとう。」

麻生をベットに寝かす。

「この子の体調のこと教えてくれる?」

俺は知っている限り、麻生の体調を述べた。

その間、愛ねえはパソコンに打ち込んでいる。

その後服を少しめくってそこから聴診器を入れて心音を聞いていた。

「よし、点滴するわね。少し脱水症状起こしてる。連れてきてくれてよかった。」

そう言って麻生の腕をまくると露わになる痛々しいの痣。

それを見て愛ねえは絶句していた。

でもすぐに医者の顔になって点滴を刺し、もう片方の腕もまくる。

「ねえ、歩。麻生さん、何かワケありみたいだけど…。何か知ってる?」

そう言った愛ねえの声はいつもの明るい声とは打って変わって低く、表情も硬かった。

「まあな。」

そうして俺は今までのことを全部話した。

告白したことを除いて全て。
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