笑顔の裏側に
そこには私と先生の抱き合う姿が映っていた。

思わず言葉を失った。

これはいつのもの?

心当たりが多すぎて検討がつかない。

「これでも付き合ってないって言うの!」

そう言ってスマホを奪い取られた。

とりあえず落ち着くために深呼吸をした。

「付き合ってないよ。」

大きく息を吐き出すように言う。

彼女がどこまで知っているのか聞き出さないことには弁解することも誤魔化すこともできない。

「嘘つかないでよ!これのどこが付き合ってないって言うの?」

「嘘じゃないよ。じゃあ聞くけど、この写真はあなたが撮ったの?」

彼女を落ち着かせるために、冷静に問いかける。

「そうよ。私見たんだから!昨日、英語科準備室で瀬立先生があなたを抱きしめるところ!」

そう言われて昨日のことを思い出す。

昨日は本棚の整理を頼まれて英語科準備室に行った。

そしたらいきなり抱きしめられたんだった。

もしかしてその時か‥。

「ああ、あれは私が倒れそうになったところを瀬立先生が支えてくれただけだよ。この頃ちょっと貧血気味でね。」

それっぽい理由でその場を凌ごうとする。

「そんな嘘で騙されると思ってるわけ?いい加減にしてよ!」

それでも嘘だと見抜かれ、どうしようかと頭を悩ませた。

でも嘘だと認めることも、先生と付き合っていると自白することもできない。

嘘は嘘のまま、真実のように裏付けるしかない。

「じゃあ聞くけど、木下さんが見たのは昨日だけでしょ?」

私の言葉に彼女は口をつぐんだ。

ちょっと言葉がきつかったかなと反省した。

彼女を敵に回すわけにはいかない。
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