笑顔の裏側に
翌朝、目を開ければ、

「おはよう。」

頭上から声がかかり、一瞬で目が覚めた。

「あ、おはよう。」

「よく眠れたみたいでよかった。」

「ありがとう。」

確かに久し振りによく寝た気がする。

目を軽くこすると、唇に柔らかいものが触れた。

「ちょっと!」

「いいだろ?ちょっとくらいご褒美くれても。手を出さなかった俺を褒めて欲しいくらいだ。」

「それは‥。」

それを持ち出されたら、返す言葉もない。

悠のおかげで昨日はぐっすり寝れたし、お母さんの夢も見なかった。

さっきの言葉を撤回するように、今度は私から頰にキスした。

すると悠は固まってしまい、顔を背けてしまう。

「悠?」

「ちょっとやばいから、こっち見るな。」

そう言われると見たくなるのが世の常というもので。

思いっきり覗き込めば、顔を真っ赤にした悠と目が合った。

「え‥。」

予想外の反応に言葉を失ってしまう。
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