笑顔の裏側に
その後はもうバタバタだった。

慌てて朝ご飯を食べて、猛スピードで準備をする。

そして何とか1限に間に合うくらいには家を出ることができた。

大学に着けば、もうすでに3人は来ていて、私もそこに近づく。

「あ、優美だ。おはよう。」

みんなと挨拶を交わすと、すぐに先生が入ってきて講義が始まった。

そして午前の講義が終わり、お昼休憩。

学食は混んでいたため、諦めて購買で昼食を買い、次の教室で食事をとる。

それぞれおにぎりやサンドイッチなどを広げる。

その時に3人から誕生日プレゼントをもらった。

化粧ポーチにグロス、ハンドクリーム。

グロスやハンドクリームはもったいなくて使えないなと思っていると、美憂の何気ない一言で話題が変わってしまった。

「てかさ、本当に優美って神谷に愛されてるよね。」

「え、いきなりどうしたの?」

キョロキョロと教室を見渡して悠がいないかを確認する。

どうやらまだいないようだ。

学食にでも行ってるのかな。

「昨日の映画もさ、もちろんうちらも行きたいとは思ってたよ?だけど2週間前くらいに、神谷が誕生日のサプライズの準備をしたいから優美を連れ出してくれって言ってきたのよ。」

美憂が説明してくれる。

まさか私の知らないところで、そんな話があったとは思いもしなかった。

「しかも自分が一番に祝いたいから、絶対に当日誕生日プレゼントとかお祝いの言葉は言うなって。私たちには次の日に渡すようにお願いしてきたんだから。」

彩花が昨日と同じく、ニンマリとした笑顔を浮かべて熱弁する。

それを見て、昨日の別れ際の言葉はそういうことだったのかと気づく。

だからみんな今日にプレゼントをくれたのだと納得した。
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