笑顔の裏側に

溢れ出す愛しさ

そして次の日、私は白木君に全力で謝り、一緒にプレゼントを買いに行く約束をキャンセルさせてもらった。

流石に悠を不安にさせたくないからとは言えなかったので、バイトが急遽入ったことにした。

白木君は全然気にしなくていいと言ってくれたが、少しだけ心が痛い。

一緒に行く予定だった美憂と彩花も私たちに任せろと豪語していたので、まあ大丈夫だろう。

悠のバイトをカフェで待つことに関しては、あの日は結局有耶無耶になってしまったので、変わらず家庭教師が終わるとカフェに立ち寄っている。

でも不思議と心は落ち着いていて、越川先輩のことは気にならなくなってきた。

よく見てみれば、越川先輩からの一方的なものが多く、悠は至って普通に職場の先輩として接していた。

前のように予習に取り組む私の姿を見て、越川先輩は面白くなさそうにしていたが、気づいてないふりをした。

穏やかに時が流れ始めた時。

私の心配していたことが現実になり始めた。

朝、いつものように悠を起こしに行き、いつも通り5分間の延長を共にした。

しかしいつもは声をかければすぐに起きる悠が、今日は全然起きる気配がないのだ。

何回か声をかけてみても、ずっと生返事だけを繰り返しているだけだ。

いつもと違う様子に私もだんだんとおかしいと思い始める。
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