笑顔の裏側に
「さあ、もう寝よう。今日は一緒にベットでな。」

悠はリモコンでテレビを消し、立ち上がった。

消す前にチラッと見えた画面は、いつのまにかニュースに変わっていた。

腕を引かれて、自室に連れてかれる。

そこで布団を裏返したままだったことに気づき、急いで直した。

悠がベットに入り、寝転がると、

「おいで。」

自分の右側を叩いて、私を呼ぶ。

今日一緒にいられなかった寂しさからか。

甘えるように隣に寝転ぶ。

向き合う形になると、悠の方から私に擦り寄って来た。

そのまま私の胸元に頭を寄せてくる。

「今日の悠は随分甘えん坊だね。」

そう言って後ろに腕を回して頭を撫でた。

「そういう俺は嫌?」

「ううん、好きだよ。」

ふと、いつもと体勢が逆だなと思う。

甘えられるとこんなに嬉しいものなのか。

心が愛しいと叫ぶ。

悠が私の髪を弄りながら呟く。

「たまには風邪引くのもいいかもな。」

「え?」

胸元から顔を上げて、瞳があった時。

「だって優美がいつも以上に優しいから。」

いたずらっ子のような微笑みが私に向けられた。

「もう変なこと言わないの。」

本当は嬉しいくせに、ついつい可愛げのないことを言ってしまうのは照れ隠しだ。

「そうやって照れるところも好き。」

そう言われた瞬間、唇に熱を感じた。

離れた時には、いつもの体勢と何ら変わりなくて。

いつのまにか私が抱きしめられる形になっている。

「だけどまた風邪引いたら‥」

その続きは私からとでもいうように、悠の唇を塞いだ。

「いっぱい甘やかしてあげる。」

自慢気に微笑めば、ちょっぴり熱くて、甘いとろけるようなキスが返ってきた。
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