笑顔の裏側に
一応インターフォンを押せば、ドアがいきなり開いた。

「どうしたの?こんな突然‥」

驚きながらも、家に入れてくれた。

玄関で立ったまま、紙袋を差し出した。

お父さんと同じように嬉しそうに受け取ってくれる。

「ちょっと待ってて。」

お母さんはリビングに行くと、何かを持って戻ってきた。

「これはお母さんからのバレンタインよ。市販だけどね。」

「ありがとう。」

お母さんからもらったのは、高級そうな箱に入ったチョコだった。

「もうお母さんも病院に戻るから、駅まで送ってくわ。車で待ってて。」

お言葉に甘えることにして、先に車に向かう。

入れ違いにならなくてよかったなと安心しつつ、家の門を開けると、ちょうど悠が帰ってくるところだった。

向こうも門の音に気づいて、こっちを見た。
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