笑顔の裏側に
何て声をかければいいんだろう。

¨おかえり¨は絶対に違う。

¨こんばんは¨はよそよそしい。

¨お疲れ様¨は変かな?

何か言わなきゃと口を開こうとしたけど、言葉が出てこない。

門の前に立ち尽くす私を見向きもせずに、自分の家の門を開けてしまう。

このままでは家に入ってしまう。

知らん振りなんて嫌。

「悠!」

ドアノブに手をかけて悠の手が止まった。

背中に向かって叫ぶ。

「私、あの部屋でずっと待ってるから!悠が帰ってくるの待ってるから!」

一番に言いたいことは待ってるということ。

悠に誤解されたくなくて無我夢中で叫んだ。

私がここにいるのを見て、もしかしたら実家に戻ったと勘違いしたかもしれない。

もしそうだとすれば、悠は自分の存在はもう必要ないと再確認することとなってしまう。

それだけは絶対に嫌だ。

しばらく悠はドアの前で私に背を向けて立っていたけど、何も言わずに家に入ってしまった。

待ってるなんて押し付けがましいだろうか。

悠はもうあの部屋に帰らないと決めてしまったのかな。
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