Fairy Battle
プロローグ【壊れたココロ】
〔世界が消えた日〕

「ただいま~」
あたしはいつもの時間、いつも通りにフリースクールから帰ってきた。
「お兄ちゃん!夜ご飯は何にする?」
いつもは「おかえり」と返してくれる兄が黙ったままなので、声を張り上げた。
「――ねぇ、お兄ちゃん?」
何か、起きている――そう感じたあたしは、2階へ行った。

バタバタバタ・・・
「おに~ちゃ~ん?」
兄の部屋を覗くが、誰もいない。
「あれぇ?コンビニにでも行ったのかな?」
あたしは、とりあえず荷物を置くために自分の部屋に入った。
「書置きぐらいしてくれてもいいのに・・・」
そのとき、すぐ傍にあった衣装箪笥から奇妙な音がした。

ドスッ

「・・・え?」
箪笥の戸を開けてみるとそこには、兄がいた。

  
    血まみれの、兄――――



「・・・お、にい、ちゃ・・・・・?」
支える力を持たないその“抜け殻”は、重力に従って倒れる。


ドサッ




「うそ・・・なんで・・・・・?おにいちゃん・・・!?おにいちゃん!!!」
その兄だったモノには、その呼びかけに答える術が無かった。



    心が、体が、
         
       あたしの存在全てが、
      
               
          この状況を、拒絶した――
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