君までの距離

高遠さんはアタシを見た。アタシも高遠さんをじっと見ていた。


「橘さんからの伝言です。悔しかったら、誰にも文句を言われないだけの仕事をしてこいって。ねじ伏せてこい、そう言ってました」


ゆらゆらと見つめあっていることで、伝えきれない言葉も伝わればいいのに。





「俺だけ子供みたいだ…」

ぽつりと高遠さんがこぼす。


「そんなことないですよ。高遠さんにとっては、とても大事な事だったんです。だから怒ったし、悔しい思いでいるんでしょう?

仕事にプライドがなかったらそう思いませんよ」



高遠さんとアタシのブランコは揺れている。勢いのよかった高遠さんのブランコはだんだんとゆっくりになりつつあった。

その揺れが高遠さんの気持ちと同じで、穏やかになっていったらいいのに。

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