君までの距離

「…ねぇ…未也はどうしたいの」


遥香の目が真っすぐにアタシを見ていた。ごまかせる相手じゃない。まだはっきりとしない自分の気持ちも、遥香に話したら少しは見えてくるかもしれない…。


「アタシ話してみたい。ファンとかじゃなくて、本当に普通の個人として」



言ってから、そんなことあるのかって思えてくる。素のままの彼とどうやって出会う気でいるんだろう。

恋愛小説みたいな偶然なんて、そうは転がっていないんだから。



「……そう。未也らしい……」


華やかな笑みを浮かべて、遥香はパソコンを閉じた。


「高遠くんの芸能事務所は俳優のブログをアップしているそうよ……日常のちょっとしたことはそこに書き込んでいるわ…あと動画もかなり挙がっているわ。今までの舞台が中心よ……それから…ツイッターでも、ドラマの話題として名前が出てるわ……」

「ありがと、遥香」



自然と笑顔が浮かべられた。知らなかったとはいえ、芸能人を好きになったという甘いお伽話を馬鹿にしないで聞いてくれて、少しでも力になってくれようとしている。

それがとても嬉しかった。

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