恋人境界線
なんで後ろ向きなのに、泣いてるってわかるのかな。
「だったら……、そのまま聞いて」
「なに?」
「あたし、あたしね…」
すうっと息を整えた。
何か言おうとするたびに、口の中に雪が入る。
まるで、口を閉じろと。空が警告するかのように。
「…無理みたい、これ以上、春臣と付き合うのは」
「…、志麻、」
「無理なんだよ、あたしたち。上手くいきっこないんだよっ」
「それ、本気で言ってんの?」
そこでようやくあたしを解放すると、春臣はあたしの体を持ち上げた。
座り込んで、暖められた場所に向かい合って立たされる。
「…本気。」
この恋の苦しさは。
人を傷付けた、罰?
相手に後ろめたさがある、こんな不安定な恋。あたしには手に負えない。
あたしが俯いたままでいると、春臣は、短く息を吐いた。
「ああ、わかった」
真っ白な雪とは正反対な、濁った鈍色のため息と。
ああ、わかった、と。
言ったのだ、春臣は。
もう終わりだ。短い恋だった。季節にしたら、たった二つ分。