恋人境界線
だけど。
今まで積み重ねてきた想いで言ったら、ペンギンの雪像よりももっともっと、大きいよ。
過去形になんて、ならないよ。溶けて無くなることなんて、一生有り得ないから。
今だって、その想いは、募り続けてる。
頬を流れる涙を手の甲で乱暴に拭って、春臣の前から立ち去ろうとしたとき。
「――なんて。俺が本気で言うとでも思った?」
手首を捕まれた。
前のめりに立ち止まって、大粒の涙が飛沫になって溢れる。
「格好つけるのやめる、っつっただろ」
「…っ、」
「俺だって、わかんないんだよ。自信がないから」
「春…っ」
「志麻をどこまで独占していいか、わかんねんだよ」
搾り出すような、弱々しい声。堪らなくなって、あたしはゆっくり振り向いた。
「また“どうして?”って顔してる」
「…だって、」
「志麻のことが好きで好きで、堪らないんだ」
言葉が出ない。
あたしは雪を飲む。
「俺、志麻のこと好きすぎて。傷付けねーかな」
「…っ……どうして?」
そんな風に切なげに、笑うの?