カテキョ。
「でも……?」

結果は自分でも分かっていたから早くその続きが知りたかった。

先生は優しく語りかけてくれた。
「俺は、知佳を好きとか嫌いとかいう感情で見てないんだよね。」
「俺は、知佳のことを妹みたいな感覚で思っているから。」
 

妹。

それが先生の答だった。
数学のように正解も不正解もない先生の答えだった。

先生にとってあたしは妹のような存在だったんだ。

特別嬉しくも、特別に悲しくもない複雑な感情を処理しきれないでいたあたしに電話越しの先生は続けた。


「でも約束は守るからさ。今度の数学のテストが平均点以上だったら、ご飯食べに行こうな。もちろんおごるし。」

きっと先生の最大級の優しさだったのだろう。

あたしはその優しさに戸惑いながらも、
「はい……。がんばります。」

そう言って、約束してしまった。
 
 
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