芹沢くんの秘密。



木漏れ日が映って、キラキラしてるようにも見える。


いつもの何も考えてなさそうな、無表情…とはちょっと違う、なんともいえない表情を、その端正な顔に乗せて。


ちょっと髪伸びたかな?と関係ないことを考える。



「聞いてるの?」



「へっ?あ、ごめん!…ここ、すごくいい席だったんだね」


「そうだよ。だから来てる、毎週」


…もしかして、


夏休みも、来てたんだろうか、毎週。



「夏休みもね。…べつに、読むだけなら自由でしょ?」



わたしの思考を読んだように、芹沢くんが答えた。


「静かで、落ち着くから。

 何も考えなくて済む」



その顔にすこし、憂いを帯びたような気がして、わたしはそれ以上口を開けなかった。

また、彼の琴線に触れてしまうんじゃないかって。



「…僕さ、金曜日、最後のちょっとだけ川瀬さんと喋る時間、けっこう楽しみにしてたんだ」



「え…?」



「僕にとって、川瀬さんといる時間は、なんとなく別世界にいられる感じがするっていうか…

綺麗な夜空でも見てる気分になる、っていうか…」


…き、



「きれい、な…」



「……っ、ごめん、変なこと言った」



急に赤くなって俯く芹沢くん。


どうしよ、


どきどきしすぎて、



倒れてしまいそう。



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