光を求めて



「ん?」



「私、学校行くよ。
もう逃げない。
だって私は1人じゃないもん。
皆がいるから。怖くない」




「千鶴・・・」



「この傷も隠さない。
堂々とする。
だって私は何も悪いことしてないんだもん」



「そうだな」



私たちは笑い合った。




車に揺られながら考えた。



私が誘拐されたのは夏から秋にかけての2カ月。



2カ月もの間、あんな目に遭った。



辛くて苦しくて逃げたくて。



涙なんて流す日が少なかった。




笑うこともなかった。




ここで一生を過ごすんだとずっと思ってた。




でも、それは違った。



泉さんと上川さんに会って私は救われた。



こうやって泣いて笑って人間らしくなれた。



私にとって2人は光だ。



ずっと光を求めていた。


暗くて怖かったあの空間に光が差したんだ。



それが泉さんと上川さんだった。






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