椎名くんの進級

「今更、大野先輩に告白って、どうなるんだよ。」
藤沢も同意見らしい。

「わかってるよ。どうにもならない事くらい。でも、けじめと言うか。今度の公演終わったら、先輩達は引退だろ。ちゃんと謝って、告白って、ビシッと振られて、それで終わりにしたいんだ。先輩が引退する時にはお互い笑顔でいたいんだ。」

「お前、先輩の事、まだそんなに好きだったの?」
「うん。自分でも驚いてる。なんか、神井先輩にとられた後の方が、余計、気になって仕方なくなっちゃって。馬鹿な話なんだけどさぁ。」
「あぁ、それは分かる気がする。先輩、すごく可愛くなったよな。恋する乙女って感じで。」
「全然脈のない相手を、こんなに好きになっちゃって。どうしたらいいのか分からないんだ。だから、けじめをつけたいんだよ。はっきり振られたら、もう先輩のことはすっぱり諦める。」
「ああ、それはその方がいいな。」

大野先輩はどこがいいのか神井先輩に夢中で、脈がない事は明らかだった。だが、果たして、椎名の求めるようなはっきりした答えが引き出せるのだろうか。

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