甘い恋の賞味期限
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「千紘くんのお母さん、ですよね? これ、入院の案内です」
「え? あ、私は……まぁ、いいか」
病院の受付の女性が、数枚の用紙を持ってきてくれた。入院の際に必要なものや、費用などが書かれた紙だ。女性は誤解していたようだが、わざわざ意地になって否定するほどのことではない。
千世は黙って、受け取ることにした。
「あの、売店はどこにありますか?」
「1階にありますよ」
「ありがとうございます」
女性はにこやかな笑みを浮かべて、立ち去っていく。
(何か買ってこよう。千紘にも、何か食べさせたほうがいいんだろうけど……)
持って来た自分の荷物から、財布を取り出す。今更になって気づいたが、お昼を食べていない。
「私、売店に行ってきます」
「…………」
静子はずっと、だんまり。
この重苦しい空気は、正直、鬱陶しい。逃げ出す意味も込めて、千世は席を立つ。
「じゃあ、行ってきますね……って、痛っ」
病室を出て行こうとしたら、誰かが外にいたらしい。思いっきりぶつかってしまい、ちょっと鼻が痛い。視線を上に上げれば、そこには見覚えのある顔があった。
「せーー!」
咄嗟に、千世は自分の手で自分の口を塞ぐ。
(な、なんでここに専務がっ?)
いや、理由なんてひとつしかないじゃないか。
千紘の父親は、彼ーー間宮グループの専務取締役、間宮 史朗だと言うことだ。
「千紘くんのお母さん、ですよね? これ、入院の案内です」
「え? あ、私は……まぁ、いいか」
病院の受付の女性が、数枚の用紙を持ってきてくれた。入院の際に必要なものや、費用などが書かれた紙だ。女性は誤解していたようだが、わざわざ意地になって否定するほどのことではない。
千世は黙って、受け取ることにした。
「あの、売店はどこにありますか?」
「1階にありますよ」
「ありがとうございます」
女性はにこやかな笑みを浮かべて、立ち去っていく。
(何か買ってこよう。千紘にも、何か食べさせたほうがいいんだろうけど……)
持って来た自分の荷物から、財布を取り出す。今更になって気づいたが、お昼を食べていない。
「私、売店に行ってきます」
「…………」
静子はずっと、だんまり。
この重苦しい空気は、正直、鬱陶しい。逃げ出す意味も込めて、千世は席を立つ。
「じゃあ、行ってきますね……って、痛っ」
病室を出て行こうとしたら、誰かが外にいたらしい。思いっきりぶつかってしまい、ちょっと鼻が痛い。視線を上に上げれば、そこには見覚えのある顔があった。
「せーー!」
咄嗟に、千世は自分の手で自分の口を塞ぐ。
(な、なんでここに専務がっ?)
いや、理由なんてひとつしかないじゃないか。
千紘の父親は、彼ーー間宮グループの専務取締役、間宮 史朗だと言うことだ。