甘い恋の賞味期限
「うちにこんなもの、あったか?」

 母親は和食好きだから、インスタントの味噌汁を買ってきたりはする。
 だが、こういったスープ系は買わない。

「作ったんですよ。トウモロコシ安かったですし、お腹にも優しいですよ」

「……作った?」

 改めて、コーンスープを見てみる。作れるものなのか、コーンスープって。

「お味は?」

「美味い! 晩飯は?」

 今お昼を食べているのに、もう晩ご飯に興味があるのか。
 千世は呆れつつ、キッチンに置いたキャベツを指差す。

「ロールキャベツを作ります」

「えー、キャベツ〜」

 嫌そうな顔をしても、千世はメニューを変えるつもりはない。食事するふたりを放置して、千世は早速、夕食作りを始める。

(キャベツ一玉、安かったな。私も買えば良かったかな? けど、ひとり暮らしで一玉は多いし……)

 スーパーは特売日だったらしく、安売り商品で溢れ返っていた。
 やたらと千紘が元気で、ゆっくり店内を見て回ることも出来なかったが、いい買い物をした。よそ様のお財布で。

「なぁ、千世。これ食べたら、ケーキ食べてもいいか?」

「お父さんに聞いたら。私は忙しい」

 千世はキャベツに構っていて、千紘の相手をする気がない。
 それがご不満らしく、千紘は口を尖らせる。

「……なぁ、親父」

「なんだ?」

 黙々と食事を続けていた史朗が、食べる手は止めないで、視線だけ千紘に向ける。

「どうやったら、千世は親父のこと好きになるかな?」

「………………………」

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