絶対主従関係。-俺様なアイツ-
 ジュリエット大作戦で一人浮かれていたあたしは、勉学も必死にこなして彼に釣りあうようにならなければならない。


「まるで別人だな」

 呆れた小町の声も聞こえていたけれど、せめて皇さまともうすこしお近づきになれるように。

そんな想いでいっぱいだった。



 学校が終わると、これまた朝ほどではないけれど、足早に屋敷へ戻りまだ慣れない仕事に取り掛かる。


そういえばもうすぐ給料日のはずだ。


 なんて野心がチラリと覗かせると、主任にピシっと睨まれるのはなぜか。

きっと主任にはココロの中を覗けるんだ、と思わずにはいられなかった。



 藤堂家のこれまた静かな夕食が終わり、刻々と闇が深まるにつれて静かな夜がこの屋敷にも訪れる。


「それでは失礼します」

「おやすみなさい、愛子さん」


 そういって、アイツの部屋の前であたしと紅葉さんは別れるのは、もう日課となった。

彼女には最後の一仕事がまだ残っているからだ。



 朝だって、夕飯だって、入浴の用意だって。

アイツのことはなぜかあたしに回ってくる。


「きっと、愛子さんが帝さまと歳が近いから、少しでも緊張しないように……ということじゃないかしら?」


 小首をかしげた紅葉さんに、はんって鼻で笑ってやった。


 こっちとしては、たまったもんじゃない。

たった同い年だから、という理由だけで。


 だけど、納得できない理由はもう一つある。

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