絶対主従関係。-俺様なアイツ-
「い、衣装…?」

 信じたくない胸のざわめきをごまかすように聞き返す。

あんまり自分のことを話さないミカドが、嫌がりもせず口にしたのが、すこし珍しかった。


ただ、それだけのはず…。


「お前たちの貧乏クラスとは違って、うちは円舞会だからな」


 ミカドの言う『貧乏クラス』という皮肉たっぷりの表現だけれど、あたしはとうに聞き慣れていたから完全スルー。

そして委員会でのことを思い出していた。


 そういえば、委員会で誰かが言っていたっけ。

上級クラス──ミカドたちのような超お金持ちクラスではダンスパーティを催すとか。


 まさか、こんなに本格的なものだったなんて。


そしてミカドから文化祭の言葉を聴いて、はっと思い出す。


「あ、そうそう!そのことなんだけど…!」

 ぱっと振り返ると、ギンとしてにらみを利かせるアイツ。


「お前、誰に向かって口利いてんだ?」


 ……そう、ミカドは悔しくも『ご主人様』なわけで。


「す、すみません。…えっと、そのことなんですけど」

 ミカドなんかにこんなに丁寧に話さなくてはならないのは、とても悔しい。

しかしそんなこと言ってる場合ではない。


「あたし、文化祭の実行委員なんで」


 これを言うためにこの部屋へきたのだから。

きっとさすがのミカドだって、わかってくれるはずだ。


同じ文化祭を盛り上げる、一生徒として。


「……だから?」


 ───わかって、くれない?


< 90 / 130 >

この作品をシェア

pagetop