絶対主従関係。-俺様なアイツ-
「あ」
「あ」

 廊下の向こうには、あたしが見慣れてしまったアイツの姿。

なんで会いたくないときにこそ、会ってしまうんだろう。


 ジリリ、と間合いも詰めず、あたしは身構える。

学校ならば、単なる“同級生”だ。


 あの鋭い視線に負けないようにキッと睨んでいると、

「帝、選曲だけど……って、知り合い?」

「……!!」

 ミカドの後ろからは、例のごとく、アノ時の男の子。

またこの最悪コンビだ。


『勉強や金がなんだってんだ』

『さすが言うことは違うな。あのトウドウ家のミカドは、さ』


 この二人の声を聞くと、どうも腹がたって仕方ないのだ。

そんなあたしを知ってかしらずか、フン、と鼻で笑うミカド。


「ずいぶんてこずってるようだな」


 ええ、そうよ。 アンタの世話のせいでね!

とは、言いたくなくて。


「あーら、抜かりがないといってくれないかしら?」

「へえ、上等じゃん?」


 あくまでも、あっちは上から目線だ。

ものすごく悔しい!


「あれ?そういや、帝。この前もこの娘と一緒にいたよな?」


 空気を壊すように割って入ったのは、アノ事件の時に書類を拾ってくれた男の子。

イイヒトなのか最悪なオトコなのかは、まだ不明。


けど、あたしを少しでも覚えていてくれてるみたいだ。


「相変わらず目ざといな、禅」


 ミカドの言葉に、あたしは驚かずにはいられなかった。
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