嘘とワンダーランド
会社の外に出ると、わたしは首を動かして周りを見回した。

そんな訳ないか…。

そう思って小さく息を吐いたわたしに、
「どうした?」

京やんが声をかけてきた。

「ううん、何でもない」

わたしは首を横に振って答えた。

もしかしたら課長が待っているかもと思って、彼の姿を探していたなんて言えない。

課長はそんな人なんだから気にしなくていいのに。

昼休みにプライベートに口出しするなって宣言した以上、課長がわたしを待っている訳ないじゃない。

「行こう、京やん」

「おっ、おう…」

京やんの腕を引くと、駅に向かって歩き出した。

本当は、課長に待っていて欲しかった。

そんな人だとわかっているけれど、課長と一緒に家に帰りたかった。

昼休みの時から残っている後味の悪さを胸に感じながら、わたしは思った。
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