嘘とワンダーランド
課長だ。

課長の姿を見た瞬間、わたしは彼から目をそらした。

千沙さんが課長の元カノだと言う事実を知って以来、わたしは家でも会社でも彼と口を聞いていなかった。

罪悪感が、わたしの心の中を支配する。

「か、課長…」

京やんはミルクティーを持ったまま固まっている。

それはそうだろう。

明日のプレゼンのせいで、京やんは緊張しているんだから。

課長は京やんに笑いかけると、
「明日のプレゼン、期待してるからな」
と、京やんの肩をたたいた。

「は、はい…。

頑張ります…」

震えた声で京やんが答えた。

プレッシャーをかけられたら、誰だってそうなっちゃうか。

心の中で呟いたわたしに、
「福田」

課長がわたしの名前を呼んだ。
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