嘘とワンダーランド
圭介とは京やんの大学時代の同級生で、京やんが主催をした合コンで知りあったことがきっかけでつきあうようになった。

そう言えば、課長と結婚してから圭介と会っていないなあ…。

会える時間がないって言う方が正しいのかも知れないけど。

そう思いながら、圭介からきたメールの確認をした。

『今夜残業だから、お前の家に泊まらせてくれないか?』

そのメールの内容に、
「――何てこったパンナコッタ…」

わたしは呟くことしかできなかった。

わたしが結婚する前に1人暮らしをしていた部屋は、圭介が勤めている会社の近くだった。

圭介が残業の時、よく泊まらせていた…って、違う違う!

結婚を機に社長が用意してくれた新居へ引っ越したため、当然その部屋にはわたしはいない。

「困ったな…」

スマートフォンを持っていない手で頭を抱えて呟いた後、わたしは理由を考えた。
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