嘘とワンダーランド
「…んんっ?」

画面を覗き込んだ後、課長は眼鏡を頭のうえにあげた。

奥二重の目は大きく見開かれている。

何かあったのだろうか?

「どうかしたんですか?」

声をかけたわたしに、課長は眼鏡を戻した。

「ああ、間違いじゃないな…」

呟いた後、課長はスマートフォンをわたしに見せてきた。

「何がです…」

画面を覗き込んだわたしは絶句した。

そこに表示されているものは、間違いはない。

これが現実である。

「9時、過ぎてるだろ…?」

そう言った課長に、
「正確に言うなら、10時になる10分前です…」

わたしは言い返した。

大慌てで服を身につけてホテルを飛び出したのは言うまでもない。
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