嘘とワンダーランド
圭介の住んでいるマンションの壁が見えてくると、わたしは気を落ち着かせた。

久しぶりに、そのうえ突然で会いにきた訳だからなあ。

圭介、どんな顔をするんだろう?

驚くかな?

それとも、喜ぶかな?

カバンの中に合鍵が入っていることは確認したし、また必要なものがあったらスーパーマーケットに行って買い足せばいいだけの話だし…よし、行くぞ。

わたしは首を縦に振ってうなずくと、圭介の部屋の前に到着した。

カバンの中から合鍵を出してドアを開けると、
「…あれ?」

チェーンがかかっていた。

わたしがくるとは思っても見なかったからチェーンをかけたのか。

仕方ない、チャイムを鳴らしてわたしがきたことを伝えた方がいいかも知れない。

そう思いながらドアを閉めようとした時、
「んっ?」

スニーカーの隣に見なれない靴があることに気づいた。
< 42 / 303 >

この作品をシェア

pagetop