GOLD BOY〜不良彼氏〜



葵と同じチームになった私は、


さっきまでのやる気の無さは何だったんだと自分でも思うくらい、急にテンションが上がった。



それから数分後。


悪友たちのチーム分けも終わり、それぞれのチームが作戦会議をして、シーンと静まり返った。



私は自分の玉を布で丁寧にピカピカになるまで拭いていた。


すると、横に葵が自分の玉を磨きにきた。



そして、小さく溜め息をしてからこれまた小さな声で言われた。




「今日だけは、絶対ガーター出すなよ」

「…あ…うん」

「ガーター出すなよ」

「努力はする」

「ガーター絶対出すなよ」

「極力努力する」

「出したら、今日は夜覚えておけよ」

「…帰っていい?」




だから賭け事は嫌いなんだよ。



私と葵はいつも同じチームにされて、私は葵に脅されて、菊哉はそれを楽しんで。


しかも、私が苦手なことばっかで賭け事するから絶対私のチームがいつも負けるし。




「絶対、今日こそ勝つからな」




葵は、無駄に負けず嫌いだし。


負けた夜の次の日の朝は、歩けないくらい腰が痛くなるし。




「…お腹痛い」


「嘘はいいから。ガーター出さないように練習しとけ」


「……はい」




いつもは聞いてくれる冗談も、葵は聞いてくれなくなるし。



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