GOLD BOY〜不良彼氏〜
葵の電話も終わって、やっと帰れると思い私専用のヘルメットを被ろうとヘルメットに触れた時だった。
葵が私より先に私専用のヘルメットを取り上げて、舞子さんに『これ被って下さい』と渡した。
………それ
私のなんだけど。
「ありがとう。でも、これって美鈴ちゃんのじゃないの?」
大人な舞子さんは、ヘルメットに気を使ってそう言ってくれた。
だけど葵は“だから何だ”という顔をしていて、仕舞いには舞子さんにヘルメットを被せた。
ちょっ…!
私が止めようとした時には、もう時すでに遅しで、舞子さんは葵に無理矢理バイクに座らせられてた。
だから、自分の指定席をすっかり取られてムカついてる私は、唇を尖らせてわざと怒ってる顔をした。
これじゃあ、私に歩いて帰ってこいって言ってるようなもんだ。
ムカついたどころじゃない。
今日の葵は酷すぎる。
ムカつくようなことばかり私にしてきて、舞子さんには異常に優しすぎる。
ひいきだ、ひいき!
すると、ムカつきすぎてその場で地団駄を踏みそうになった私の耳に届いたのは
バイクの近付くうるさい音だった。
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